ジャニーズをデジタルに放つ新世代

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彼らの言葉は驚く程すんなり頭に入ってきて、本を捲る私の手を、止めた。

 

「俺らの時代はとにかくCDデビューしたいっていう分かりやすい目標があったけど、もしかしたら、俺らより後輩の時代は何かが変わるかも」

 

私は、これまで「誰が何と言おうと、SixTONESには"ジャニーズ事務所"から"CDデビュー"して欲しい」と思っていた。もっと言うと、「その道以外あり得ない」とまで"それ"に固執していた。


しかし、ここ数ヶ月の彼らの発言を顧みると、デビューこそ拘っているものの、デビューの"カタチ"については言及していないように見える。むしろ、"配信デビュー"に前向きなように捉えられるだろう。そこでふと、疑問が浮かんだ。


ーー果たして本当に、CDデビューだけが"成功"への道なのだろうか。

最近、デビューの価値観は世間で言う"女の幸せ"と似ているのかもしれない、と考えるようになってきた。結婚して家庭に入り、子どもを産んで、家を建てて。幸せの定義は、誰が決めたの。そんなの自分で決めるものじゃないの。他人に、勝手に定義されたくない。そう思うと、彼らの幸せを私が勝手に決めつけているようで、途端に恥ずかしくなった。私の"ジャニーズ事務所"から"CDデビューして欲しい"という想いは、ただの1ファンの願いであり、それ以外は望んでいないだろうと勝手に仮定した上のエゴでしかなかった。凝り固まった固定概念の中で、好き勝手理想を並べているに過ぎなかったのだ。


彼らはそれよりも、6人でデビューすること、そして次世代のために可能性を創っていくことに目を向けていた。ハッとさせられた。私は、なんて狭い価値観の中で生きていたんだろうと赤面した。完全に、お手上げだった。


SixTONESみたいになりたいって言ってもらえるように、新しいカタチとして違う場所を示せたらいいよね」「SixTONESが新しい道を作って、後輩たちの可能性を増やしてあげられたら最高じゃない?」
「最初に楽曲配信したグループがSixTONESってのもいい!」


これまで数々の道を切り拓いてきた彼らの口からそう聞くと、何だか配信デビューも良いように思えてくる。結果出して、"ぐぅ"言わせて、1枚目からとんでもない記録を打ち立ててみせるのも、らしいんじゃないかという気分になってくる。外野は、勝手だ。


とはいえ配信デビューに全面賛成な訳ではない。こんなことを言うとおばさんくさくなってしまって嫌なのだけれど、インターネットではあまりに軽すぎる気がするのだ。もし配信デビューをしたとして、YouTubeはどうなるのだろう。そのまま続けるようではデビューしたという実感が得られないし、全くなくなってしまっては彼らが戦う場所がない。有料コンテンツとして、別の場で配信を続けるのだろうか。メディアではいつまで経っても"配信ありき"の彼らになってしまう気がして、怖い。


とある雑誌のTwitter投稿で、"「会える」型破りなジャニーズ"とタイトルがつけられたのも、違和感を覚えた。一般の方が見たら、安っぽく思われないかと悔しくなった。ジャニーズって、ジャニーズのデビューってそんなもんじゃないよ、と。大好きな人たちが十数年も夢見て走り続けてきた先は、やはり飛び切りトクベツなものであって欲しいし、華々しくデビューを飾って欲しいと願ってしまう。こんなの、エゴだと思う。分かってはいるけど、親心なんだよ。ごめんね、許してね。


私は、彼らが幸せになってくれたら、心から笑えていたらそれで良い。だから、どうか、彼らと私たちの行く先が、明るいものでありますように。